著作権侵害への対応、実体験(法人編)

著作権侵害に対して、動いてます。その3回目の記事です。

初回では動き出した際の思いを陳述し

2回目の記事では昨今の情勢を書きました。今回は体験談を書きます。動き出した、とありますが、以前、1件のみやりとりをしたことがありました。

和解に至ったため相手方を公表、特定できる情報を出すことは控えますが、相手方は法人でした。内容としてはウェブサイトのトップ画像で僕の写真を無断使用していたことと、トップ画像のサイズに合わせて大きく横長にトリミングされていたことです。なお、トリミングされると、単に著作権侵害のみならず、著作者人格権の侵害でもあります(平たくいうと勝手に改変されない権利)。

法人相手の場合、たいていは企業の住所、連絡先は明らかです(これが明らかでないと怪しい)。そのため、特に相手方に連絡することもなく、侵害の事実、損害賠償料、振込先を記載して内容証明をいきなり送りました。後々考えればこんな面倒なことしなくても普通に交渉できたかなあとも思うのですが。まぁ、企業と言っても普通の人と同じで色んな性質があるわけで、何がファーストステップの正解かはわかりません。その時はそれが一番手っ取り早いと思ってました。

1週間ほどして相手方の代理人(つまり弁護士)と名乗る方より書面で返答がありました。謝罪と、著作権侵害を認めるとともに、自分が著作者であることの証明、料金の内訳、妥当性を明らかにせよ、とのことでした。また、これだけの期間掲載していた(数ヶ月)との釈明もありました。

正直なところ、弁護士が相手になって少し安心しました。面倒な社長などが相手の場合、裁判まで行くことがありうる一方、弁護士が相手だとこちらの理を論理立てて説明すれば、場合によっては法人を説得してくれるわけです。そのため、弁護士に要求されたものを返答として再度、今度は弁護士宛に内容証明で送りました。

著作者の証明についてはExif情報といかにレタッチしたかを書きました。また、今回の場合、相手方がトリミングしているのでオリジナルを提出するだけで証明としては十分でした。著作権を第三者に譲渡していないか、ということについては悪魔の証明となるので、していない、と回答するのみです。損害賠償料の内訳としては通常の使用料に無断使用の割増金、また、著作権人格権の侵害として画像のこれだけ多くをトリミングしているのだから(photoshopで割合を算出)、これくらいは妥当だ、とした金額を出しました。料金についてはまた次回あたりに書こうと思っています。

(余談ですが、著作権人格権については程度と算出方法が今でも不明です。トリミングのみならず、例えばレタッチでも侵害になりますし、画像の縦横比を変える、映画風の黒帯をつける、も侵害です。これについて知識をお持ちの方いらっしゃれば教えてください)。

最終的に3往復のやり取りで15万円で和解に至りました。数ヶ月の無断使用でその額というのはパッと見で良さそうに見えますが、自分の作業時間(調査や書き方を調べること、実際に内容証明を書いた時間、郵便局でとられた時間)を考えれば仕事に換算すれば割の合わない業務でした。相手方も弁護士費用などかかって割には合わなかったでしょう。何度でも言いますが、著作権侵害は誰も得をしません。しかし、加害者がせめて損害賠償額を支払わないことで余計に被害は大きくなります。参考にしたサイト、有馬さんのブログにもこのような記載があります。

できればアマチュアの方も使用料を請求してほしいです。

そうして、写真画像の無断使用がみつかるごとに即座に料金請求されることが世の中に知れ渡るようになれば、やがてこういった事件も減ってくるはずです。 ネット上の写真やイラストには必ず作者がいて、自分の作品を大切にしているのだと、広く世間に知ってもらえるようにクリエイターみんなで声をあげていきましょう。

https://www.photo-yatra.tokyo/blog/archives/9118

僕も上記に同意です。その思いが強くなったからこそ、今こうして少しでも後の人のための参考になるかと情報を残しますし、また情報を掲載してくれている先人の皆様に感謝申し上げる次第です。

2020-08-19 | カテゴリー 考えごと | タグ

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