ネット上の著作権侵害にまつわる昨今の事情まとめ2020

前回の続きです。前回は僕の写真を無断使している著作権侵害について、重い腰を上げたことやそれについての思いを書きました。改めて書きますが、とても覚悟がいる行為です。そもそもそんな覚悟しないといけないこの状況がおかしいと思ってるわけですが。

SNSでは本日も他人の著作物を無断使用していいねを稼ぐ輩がはこびっています。もっとまずいのはそれを意識せずにやってることだと思うのです。

著作権侵害に対してのアクションについてはここ数年である程度ノウハウが蓄積されてきました。以下にいくつか参考になるリンクを貼っておきます。

https://www.photo-yatra.tokyo/blog/archives/7614

写真家の有馬さんのブログは実体験が語られており、同業者として非常に参考になります。

https://note.com/aoteen/n/n550de23ad614

蒼井アオさんのnote。イラストレーターの方はこちらが参考になるかと。最初から最後までひとつの記事でまとめているので読みやすいです。ただ、著作権侵害されてすぐ判明しているのと、弁護士が動いてくれているところが例外的と言えます。

みずほ法律事務所の記事。法的な知識がある程度ある人はこちらがオススメです。最初の具体的なアクションか記載してあります。

先日、終わりを迎えた歴史的カメラ雑誌アサヒカメラ。そのバックナンバーに盗用されたとき特集があります。

より専門的な本も。僕はある程度ノウハウ積みましたが、まとめとしてこの本をこれから読みます。

このように著作権侵害された時の起こすべき対応のノウハウは蓄積されてきていますが、何故こんなにノウハウが蓄積されてきたかというと、それはノウハウが要るようなものだからですね、当たり前ですけど。それほどまでに著作権侵害された時に損害を回復するにはハードルが高いのです。

案件によっては弁護士を立てることも可能ですが、基本的に著作権侵害の損害賠償請求は弁護士に依頼するとかえって赤字となってしまうことが多いのが現実です。被害者が赤字って自体、おかしいというのか直感ですが、公正な司法を考えると現行の社会制度ではこうならざるを得ないようです。そのため、最初から最後まで弁護士を入れずに自分の手で行うか、弁護士に依頼するとしても一部か、どちらかです。これは僕が複数の弁護士に相談した結論です(素人のご相談に快く乗ってくださった先生方には改めて感謝申し上げます、中には返信すらなかった弁護士がいらっしゃったのも事実ですが)。

少し前はいわゆるキュレーションサイト(別名いかがでしょうかサイト)が写真の無断使用の乱発でありました。が、某医療系サイトの盛衰とともに、キュレーションサイト自体が下火になったり、検索神にランク外に飛ばされたり、また、運営もこれではやってられんとライターの情報開示を躊躇わず行ってくるようになり、ひとつの時代が終わりました。時代は移り変わります。

いずれにせよ、ネット上の著作権侵害に対しては加害者を特定するのが最初の段階です。それが連絡を取れるレベルの特定か、住所氏名まで明らかにするレベルの特定かは事案や程度によります。当然後者の方がハードルが高いですが。

加害者特定と言えば、SNSでの誹謗中傷が最近の話題です。誹謗中傷と著作権侵害は加害者特定の行程は同じですが、全く違う点に時間があります。誹謗中傷は本人に直接なされることも多いのですが、著作権侵害は時間が経って判明する場合があります。いや、時間がたって判明することがほとんどです。本人にわかるように著作権侵害するのは、レアですから。このことが著作権侵害の損害賠償を難しくしている要因のひとつです。

また、誹謗中傷については加害者の電話番号も公開するとか、公開までの手続きを簡易にするとか、色々議論が進められています。僕はこれに著作権侵害の相手方特定も仲間に入れて欲しいなぁと思って、Twitterで声を上げていますが、手答えは難しいところです。

(ほら、リツイート0、いいねは1だ)せめて、被害者が弁護士に依頼しても赤字にならないような仕組みは今後できないものでしょうか。今のところ賛同してくれる人はいないのですが、このことは僕の今回の一連の作業で目指すところでもあります。昔は他人の画像を勝手にネットにアップしても何も言われない時代があった、野蛮だよね、って時代が来ることを夢見て。

2020-08-16 | カテゴリー 考えごと | タグ

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