プリンタ職人の朝は早い
本をつくっている話の続きです。今日はプリンタと一日向かい合っていました。1年ちょっと前?にEPSONの現在のフラグシップインクジェットプリンタであるPX−5Vを買って僕のプリント生活は一変しました。とにかく、このプリンタはよいです。若干調整はしましたが、ほぼモニターと同じ色、諧調でプリントが出せます。毎度その美しさに感動すら覚える中、必然的に僕の中で「じゃあこれもできるだろう、あれもできるだろう」とプリンタに要求するレベルもあがります。今回のテーマは
「両面印刷で同じ箇所に印刷すること」
これです。単純に裏返してプリントすればいいじゃない、と思うところですがそう簡単にはいかないのがインクジェットプリンタと人生です。同じデータを印刷しても少しだけ、ずれるのですね。人生もそう。そこで、僕はまずどれだけ表と裏でずれるのかを調べるため、中心に正方形を描いたイラレのデータをA4のコピー紙の両面に印刷をしてみました(上下左右対称であればなんでもいいですが)。すると、ちょっとだけ縦にずれました。なんと、横はピッタリでした。ちなみにイラストレーターはS3です。次に、ちょっとだけ縦にずれた分をイラレの印刷時に調整します。
この画面ですね。印刷時の詳細設定でセットアップを選んで、今回は縦にずれていたので原点Yの数字を1mmずらしてみました。そうして再度A4コピー用紙の両面にテストプリントしたところ、表裏がぴったりと重なったプリントができました。素晴らしい。この1mmのズレはPX-5Vならではか、あるいはソフトなんかの環境的な要因もあるのか、それは僕にはわかりません。他の環境ではX軸もずれることだってありえます。とりあえずそんなこんなで両面をぴったり合わせることに成功しました。トライアンドエラー。人生もそう。
次に本番プリントです。本番はA3 です。ところが、A3でプリントしたところ、X軸もずれました。ずれた、というよりも斜めになっています。ある場合ではうまくいくのに、別の状況では失敗する。同じ法則が必ずしも通用しない。人生のようですね。そこで、出来上がったプリントをよく観察することにしました。失敗から学ぶのは人生においても大事なことです。また、プリント時のプリンタの動きも同様に観察しました。一カ所に捕われていては全体が見えなくなる。この場合はプリントする、という行程そのものを観察するのです。すると、印刷が始まる瞬間にプリンタが大きく、激しく紙を吸い込んでいることに気づきました。A4は紙がA3ほど大きくないからこれではずれるのもしょうがないな、と思わせられる吸い込みっぷりで正直なところ、両面印刷を諦めかけたくらいでした。しかし、「もうダメだ」と思ったそこで一歩踏みとどまってみましょう、それは人生も同じ。一晩考えて、紙を一枚だけ給紙するのではなく、紙を揃える基準を作ることにしました。つまり、台紙を給紙スペースに一枚入れておき、そこに印刷する紙を毎回合わせるようにするのです。もし印刷時にプリンタが毎回同じだけ紙を吸い込むとすれば、初めの紙の位置が同じであれば同じプリントができるはずです。仮説をもとに実験する。科学的な手法ですが、人生にも応用できるのではないでしょうか。今回、僕は台紙に厚紙と印刷用紙を重ねたものと2種類用意しました。結果、印刷用紙を重ねたものが今回の紙とは相性がよかったようです。印刷用紙を複数枚重ね、一番上の用紙を下の用紙にピッタリ重ねますが、その時が一番の集中です。表面が正確に印刷できても、裏面で失敗してはいけません。とにかく、水平のプリントを目指して全神経を注ぎ込みます。これぞ職人技です。2日くらいしかしてませんが。でも、そのくらい集中しなければいけないということです。人生も同(以下略)。結果、見事に両面がぴったりなA3プリントが完成しました。ポイントをまとめると、
- 自分の環境でどれだけ両面がずれるのか、まずはズレ量を検証する
- 給紙を正確にするため、紙を合わせる基準をつくる
たったこれだけでした。いつだって答えはシンプルなものです、そう、人生の(以下略)。ところが、次の問題が起こりました。トラブルというものはいつだって重なってやってきます。まるで人生(以下略)。給紙がうまくいかず、エラーが起こるようになったのです。今日の時間のほとんどはこれに費やしてしまったようなものです。
色々とインターネットを回ったり、プリンタに話しかけてみたりしましたが、上の写真のクリーニングペーパーというやつを使うことに。給紙のローラーにつまった紙から落ちた細かいゴミやホコリをとってくれるそうです。確かに、プリンタを買ってから一度もローラーはクリーニングをしませんでしたし、僕はどちらかというと特殊紙を使うことが多いのでホコリがたまっていたのかもしれません。普段はあまり気にしませんが、EPSONの純正プリンタ用紙を買うと入ってます。そう、答えは風の中、いつだって気づかぬ身近なところにあるのです。まるで人(以下略)。これを使うことでいくらか状態はよくなり、スムーズに印刷ができるときもあったり、やはりエラーが起きたり。色々と考えた結果、原因は普段は見えない、内部のローラーなのかなぁと今は思ってます。そう、(以下略)。とりあえず、なんとかだましだましプリントは終えたのでよしとします。あとは製本でミスして印刷しなおしにならないように丁寧に、慎重に行うだけです。今回の件が終わったらちょっと修理に出そうと考えてますよ。そ(以下略)。なんか、毎年本の制作はギリギリかつ挑戦的なことをしている気がします(以下略)。
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