撮影に関連する電波と技術適合の概論です

電波と一口で言っても、携帯電話や電子レンジ、BluetoothやWi-Fiなど日常の様々な場面で使われています。楽器や撮影機材でも使われます。とはいえ、電波の基本的な性質は同じです。だから「電波が人体に有害で〜」という主張に賛同する人は都会で暮らすなんてもってのほか、人里離れた山の中でないと生きていくのは難しいのですね。放射能と同じで目に見えなく、匂いもない分、デマや妄言が広まりやすいのでしょうか。(参考:総務省のリンク http://www.soumu.go.jp/soutsu/tokai/denpa/jintai/)さて、本日は自分の職業柄、撮影と電波に関わる基本的な話です。漢字が多めになりますが、おつきあいくださいませ。

電波は周波数の近い電波ほど混線が起こりやすい性質があります。日本国内の電波を取り仕切っている行政庁が総務省ですが、電波を発する機器で日本国内で使用するには『技術適合証明』を取得する必要があります。携帯電話でも、日本で正式に販売されているものはどこかしらに技術適合を証明する印、略して技適マークが入っています。反対に、海外向けのSIMフリー端末などは日本独自の技適を取得していないこともあり、法的に日本国内で使ってはいけないものです。

これは技術適合、略して技適を取得していない電波発生装置が強力な電波を使っていた場合、混線が生じる可能性が高まるからです。例えば、混んでいる街中のBluetoothはただでさえ不安定ですが、強い電波がそこで使われると通信が不可能になるレベルになりえます。それが消防無線や救急などの大事な電波を混線させてしまったら、と少し想像するだけでも大変な事態になるのがわかります。その点で技適には重大な役割があるわけです。

撮影機材で使われる電波

カメラ関係だと無線で同調するストロボ、レリーズあたりが電波を使います。最近のカメラはスマートフォンと連携するためにWi-Fiも搭載されているのも多いですから、そうした機種でも電波が使われていることになります。ドローンでは本体と送信機のやりとり(本体の操作、カメラ映像の転送)などに使われます。Amazonで中国メーカーの撮影機材や並行輸入品が安く売られていますが、無線を使う機材は技適を取得しているか、確かめる必要があります。ドローンについても中国メーカーのものは技適の怪しいものが普通に売られています。DJIのような大手はさすがに技適取得済みですけども。

技適製品使用上の注意

製品が技適さえ取得していれば使うにあたっての免許等は必要ありません。しかし、分解した時点で技適は無効になります。改造や修理を勝手に行ってはいけない、ということですね。修理、改造については許可をもっている人(業者)しかできません。たしかに、分解してもよいのであればいくらでも電波を強めたりもできますからね。また、改造したかどうか、後から判断するのは難しいのでそのつもりがなくてもフタを開けた時点で改造にあたります。次に電源を入れた瞬間に法律違反になるわけです。

違反についてですが、改造したり、技適の通っていない製品を販売したりした人(業者)が罪に問われるのではなく、使った人が違法になることも注意です。身近なところでは、街中にあるiPhone修理店。総務省の認可を得ていない業者が行った修理は技適が無効になりますので、そこで修理したiPhoneは日本で電源を入れると違法になってしまうわけです。しかも、使った人が違法になるというやるせなさ。

クラウドファンディング

さきほど、Amazonで売っている中国メーカーの製品に気をつける必要があることを書きましたが、もうひとつ、気をつけるべきがクラウドファンディングで買う製品です。これから製品化を図っていこう、という段階の製品が多いクラウドファンディングでは、発送元が海外の無線機器はほぼ間違いなく技適を取得していません。技適に変わるその国独自の無線規格(アメリカだとFCC、ヨーロッパだとECマーク)は取得してあることはあっても、日本向けに技適を取得していることはないです。なので、クラウドファンディングで面白そうなカメラ機材を見つけてもBluetoothやWi-Fiで通信を行う機能がついていると僕は出資を諦めます。

時代に合っているか

そんなわけで、健全な電波社会のために欠かせない技術適合ですが、一方で気軽に海外製品に手を出しづらいなど、制約もあります。外国から旅行などで日本に訪れた人がスマホを使用したら即アウトかというと、そうでもなく、外国で日本の技適相当の認証が取得済みであるスマホは一定の期間は(90日くらいだったか)使ってもよいことになっています。その辺りの運用を国際的にもっと柔軟にやってもらえたら、海外のクラウドファンディング製品を気軽に買えたり、技適の怪しい製品もとりあえず便利そうなので使ってみたりなど、できるんですけどね。これは何も輸入だけでなく、輸出のときもそうで、立ち上げたばかりの会社がよい製品を作っても海外の技術適合的な証明を取得する手間を省ければよりボーダーレスでグローバルな流通ができると思うのです。電波の詳細なことは僕もまだわかっていないので、妄言と捉えられてもしょうがないのですが、電波法は今の時代には少し窮屈な制限かなとも思うのです。これだけ海外の製品が普通に買える時代で、気づかないうちに違法電波を使っていた、ってのもイヤですからね。

2018-01-08 | カテゴリー 日記 | タグ

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