最近シフトレンズが好きでよく使っています

みなさん、大判カメラは好きですか?この質問に即答できるのは日本国民の1%もいないと思われますが(僕も回答しかねます)、大判カメラといえばカメラマンが黒い布被ってシャッター切る姿が印象的ですね。それと、蛇腹。カメラとレンズの間に蛇腹がついてます。あの蛇腹のおかげで技術的に色々できるんですが、普通の一眼レフ用のレンズではその機能は省略されてます。理由も色々あるのですが、それをつけると価格が大幅に高くなるからですね。しかし、世の中にはその機能をふんだんに贅沢につけたレンズがあって、いわゆる『シストレンズ』と呼ばれるものです。

シフトレンズ

最近僕はこれの85mmが好きで、よく使っています。現行のひとつ前のモデルです。面白いですよ。マニュアルフォーカスで、実効絞りだし、しかも自動絞り機構がないのでシャッター切る前に絞り込みレバーを押さないといけない不便さがありますが、それを補って余りある魅力がこのレンズにはあります。

まずシフトレンズなんでそもそもの解像力がいいです。それは単焦点レンズなんで当たり前とも思いますが、それとシフトレンズの醍醐味、ティルト。原理はよそのサイトに譲るとして、端的に言えばピントが合う面をずらせるので被写界深度のコントロールができるという深みがあります。

エビアン

この2枚の写真は同じ露出で撮ったものですが(f13、ISO100)ここまで被写界深度が変わります。

evian

上の写真はペットボトルのほぼ全体にピントが合っているのに対して、下の写真ではペットボトルのキャップ部分しかピントが合っていないのがひと目で分かると思います。みんな後処理で作っていますが、ジオラマ風写真もこのレンズなら一発でで撮影できます。絞り以外でこのように被写界深度を調整できるメリットはいくつかあります。

まず1つはあまり絞り込まなくとも(小さいf値で)深い被写界深度を得ることができるということ。ただし、原理的にレンズ中心に水平、垂直に正対する被写体については効果はありません。上の写真の例がまさにそうです。

もう一つは絞りによる被写界深度と組み合わせることによってある範囲まではピントが合っているが、その範囲を超えると急にアウトフォーカスになるような写真が撮れるということです。具体的な例として商品のイメージカットをひとつ。クライアントの要望として「背景をボカして撮ってください。ただし、商品Aと商品Bのどちらにもピントは合わせてください」というものがあり、商品Bの位置が背景に近いときを想定してみます。通常のレンズであれば背景に近い商品Bにピントを合わせつつ背景をアウトフォーカスにするのは原理的に不可能なため、それは無理です、と言って商品Bの位置を動かしてもらうか、合成するという方法になります。しかし、シフトレンズがあれば1カットでそれが可能になるわけです。商品Aと商品Bをティルトでピント面を合わせ同時にピントを合わせつつ、背景のボカし具合を絞りで調整する、という解決法があり得るのです。イラストとかなくてすいませんね。

場面が極端かもしれませんが、他にもこのレンズが活きる場面は少なくありません。しかし、これを運用するにあたって大きなデメリットが2つあります。ひとつは使いこなしに練習が要ること。やっぱり特殊なレンズなので使い方にも手順が要りますし、どのくらいまでピント面を調整できるのか、体感ででも覚えておかないと現場で時間ばかりかかります。

もう一点は高価なこと。特殊な機構ですし、設計上、イメージサークルを大きく作る必要があるので35mmレンズよりコストがかかります。そして何より需要がさほどないので(メーカー、カメラ屋談)、高価にならざるを得ないようです。Nikonのミラーレス用レンズよりも高価です。僕が現行品ではなくひとつ前のモデルを選んで買ったのも実はその理由です。。。みなさん、シフトレンズは面白いのでもっともっと興味持ちましょう。たくさんの購買があればもっと安くなるかもしれません。

tobitsuさん(@tobitsu)がシェアした投稿 - 2017 10月 14 2:17午前 PDT 前にNikonのPC-E Nikkor 19
2018-09-19 | カテゴリー カメラ | タグ

関連コンテンツ

スポンサーリンク