手作り写真集の作り方 基礎編
手作り写真集やらフォトブック、世にあるサービスを使わず、オリジナルなのを自作したい、という人向けの記事です。これまで何年か作ってきた経験から書きますので、割と自己流ですがご容赦ください。基礎知識から書くと大変な分量になるので、何回かに分けて書きます。ニッチかもしれませんが、お楽しみに。
まず、製本の知識ですが、あったほうがもちろんよいのですが、なくてもなんとかなります。要は本の形になればよいのです。こういうことを書くと怒られそうですね。僕は今もあまり製本の知識はなく、ワークショップに一度参加したことがある程度のレベルです。それでも、これまで自作でフォトブックは作ってこれました。
なお、フォトグラファーとしてはファイルに入れてまとめるいわゆる『ブック』という形式が一般的です。これはプレゼンや営業向きで、写真を入れ替えるのに便利です。これを今回やろうとしている写真集形式で作ると写真の並び替えや差し替えが困難だったり、そもそも本としての装丁や製本、デザインはフォトグラファーとしては評価される箇所ではないため、あまりオススメはされないわけです。今回はあくまで作品として本にまとめた場合について書きます。
↑これまで制作した写真集の一部 大小さまざまあります
環境
とりあえず、手作りフォトブックを作る上で必要なものを簡単につらつらと挙げていきます。カメラ以外で。
- ソフト…写真編集用やレイアウト用のソフト。アナログなことをしない限り、必須ですね。
- パソコン…どのくらいのスペックのPCがいるのか、って話です。
- モニター…自作にこだわるならいいのがあった方がよいです。
- プリンター…印刷だけ外注、という方法もありますが、家にあると色々とメリットがあります。
- 大工道具や製本道具…印刷した紙を本にする工程で諸々要りますね。どんな本を作るかにもよってきます。
個々の環境についてはまた今度詳しく書きます。その一方で、写真をフォトブックにまとめられるWebサービスなどもあって、色々と買い揃えるよりもそういうので済ます方法もあるわけです。カメラメーカーから大手印刷会社、中小企業、できる製本の種類やウリなど様々な規模でありますね。次にそれらと手作りの違いを並べ立てます。
オーダーのフォトブックとの違い
自作のほうがかかってくる費用が高くつく傾向があり、仮にまったく同じものを作ろうとすればオーダーのフォトブックのほうがリーズナブルです。そりゃあ、大量に発注受けてる専門業者ですから、当然です。資本主義。ただし、自作のよいところは安くあげようと思えば安くも作ることができます。自作フォトブックの最大のメリットは自由なこと。本に使う紙や表紙の素材、レイアウト、製本方法…何もかも好きにできます。つまり、クオリティを徹底的に追求できるのです。
一方、印刷が退色せず長年持つのはオーダーのほうです。多分。これは印刷方式の違いで、そういう原理なので仕方ありません。具体的に何年違う、というのは保管状況にもよるので難しいのですが。最も、自作のプリンターでよく使うインクジェットであってもきちんと保管すれば色褪せません。僕が昔作った本もまだ退色などはなく、少なくとも自分が生きている間は問題ないでしょう。
完全に自作のフォトブックとオーダーの間くらいの選択肢もあります。データは自分で作成した上で、紙を持ち込んで印刷してくれる小さな印刷所を使う、など。こういうとこだと、レーザープリンターを使っているケースもあります。発色や色合わせはあまり期待はできません。しかし、紙の制約が少ないメリットもあり、インクジェットでは使えない紙も使えたりします。また、意外に安くあがることも多いです。ただ、印刷所に出向く手間も面倒なので、特に締め切りがある場合はよく検討すべきでしょう。
自作のフォトブックの場合、最大のデメリットが大量生産できないところ。ホチキスでとめるだけの製本の中でも、お前そんなんで製本と言えるのかよ、くらいな立ち位置である(個人的偏見)『中綴じ』でさえ、100部がいいとこだと思います。
まぁ、やってみると意外に選択肢は少なくないと気づきます。とりあえずでも始めてみればクオリティはともかく、できてしまうものだし、なんとかなります。長くなったので今回は基礎編ということで、この辺りで。
とりあえず、本記事を含め、全4回でまとめました。
ここから追記:昨日より僕の手作り写真集も展示中の「Book+」が東京、初台のMOTOYA Book・Cafe・Galleryにて開催中です。よろしかったらおいでください。2017年の7月1日までです。
ブックイベント 「BOOK+(ブック・プラス)」
「Book+」は、今年で9回目を迎えるアーティストブック・手製本の展示販売イベントです。
アーティスト、フォトグラファー、デザイナー、イラストレーターたちの、 なにか が PLUS された本。
本 Plus 好きなもの…本 Plus 時間…本 Plus ひと…
あなたの大切な一冊となるお気に入りを探しにいらしてください。
■ 出展者 ■
あしたのんき / UROCO / おおくぼゆみこ / 大髙 那由子 / 太田 潤 /
オカダキサラ / Grandmoppet / Grimm Twins / 凱留狗工房 /
サカイシヤスシ / 佐藤香苗 / 新綴 / 菅沼靖幸 / ソブ ミワコ /
高橋千恵子 / 立花 満 / 田中草樹 / たにつえりこ / tamax /
ツギ / 津村明子 / 照屋美優 / どーる・HONOKA / 中野愛子 /
西川 恵子 / ニセアカシア発行所 / 溝上幾久子 / 森本 歩子 /(50音順)2017 / 6 / 7 wed. ~ 7 / 1 sat. (月曜・火曜定休)
13:00~20:00 (19:30 ラストオーダー)
* 6/17(土)18(日)のみ17時からの営業
カフェでの展示となりますので、ドリンクのオーダーをお願いします。プラス最終日:「作家DAY」
7月2日(日)13:00〜17:00
入場料(チケット制):¥500
* ¥500のチケットは、ドリンク代にも作品の購入代としてもご利用いただけます。
当日は出展者も多く在廊しています。交流の場としてお楽しみください。MOTOYA Book Café Gallery
〒151-0061 東京都渋谷区初台2-24-7
Tel.:03-6362-2082
京王新線 初台駅 中央口改札南口 – 徒歩8分
小田急線 代々木八幡駅 – 徒歩10分
千代田線 代々木公園駅 八幡口 – 徒歩10分
追記2:世界的ドローンメーカー、DJIの「DJIで桜を撮ろう」コンテストで特別賞を受賞しました。嬉しいです。
現代における日本的な桜とはどのようなものだろうか、ということを考えて撮影場所を選んだり、イメージを膨らませたりしました。
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