セミリンガルは言語障害
実家付近の海の写真、補正作業が終わらず、未だPCのなかでは2週間前にいます。
そんなわけで、また実家の話。
ここ数年は口語でも一人称は「僕」の僕ですが、その前まではちょっと違和感のあった時期を挟んで「オレ」でした。ここ数年なのですね。18のときまでは「オレ」には何の不自然も感じませんでした。周りに一人称が「オレ」でない男子はいませんでした。いや、老若男すべて「オレ」で、ときどき老女さえも「オレ」というくらい「オレ」は浸透していた一人称でした。つまり、方言だったのですね。だから「オレ」というよりは「俺」と記述した方が的確にも感じます。「オレ」というと、いかにも気取ったような、また、「オレ」と書くと多少文語の印象があるのですが、方言を正確に文字に変換するのは不可能だからです。
地元をでてから1,2ヶ月はあまり覚えていないのですが、標準語に自分の言葉を変換して話すのに大変な思いをした記憶があります。そして一人称に関してはほとんど気が回らなかった。当時のバイト先に青森出身の先輩がいましたが、その人は一人称を省略して話すという日本語のメリットを不自然なくらいに運用する人でした。約3年ほどの間で一度くらい、「オレ」と言っていたのを聞いたくらいでしょうか。もしかするとその人も僕が後に感じるにいたった一人称と自己像のギャップを先取りして感じていたのかもしれません。きっとその先輩も、故郷に帰った際には「俺」になっていたと今なら予想できます。
「オレ」とばかり書いていていささか詐欺臭い文章になってしまいました。方言の中の「俺」は上の写真の岩肌にも染み付くような土着感があります。一方の「オレ」は僕の短い標準語生活の中ではどうも上っ面の表面だけをなぞるような単語にしかなりえませんでした。短い、といってもそれなりには経っているのですけどね、それでも実家に帰ると僕は「俺」になるのです。東京の人がかろうじて意味だけを追える程度の方言とともに。そして、久々に会った地元の友人がうっかり標準語で話してしまってお前気持ち悪い、という話題にもなるのです。こないだ、妹のいる前で「僕」なんて言ったら笑われましたよ、僕。
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