選挙と掲示板写真
昨日から参院選の公示が始まり、各党候補者の写真が掲示板に貼られ始めました。僕ももういい大人ですから選挙権を手に入れてもうかれこれ何度選挙があったことか、いつの間にか数えるのも止めてしまいました（今回は選挙ポスターの話ですが、政治色はまるっきりありません）。
しかし、最近では職業柄、各候補者の写真の撮り方なぞを見るのがひとつの選挙の楽しみになっています。というのも、写真を見れば党（陣営）の体力がなんとなく見えてきたりもします（そもそもウチの近所見たく住宅街など全ての掲示板にポスターを貼れず、主要駅前くらいにしか貼れない候補者も国政選挙だといますが…）。
さて、候補者の写真の話ですが、大きな政党ほど無難、というか好感触な写真に仕上がっている印象です。ざっくり言って、
- 丁寧なライティングをし、
- 顔は正面に、体は正面からやや斜めくらいの角度に肩を中心に振って、
- 好感触になるように写真を加工する、
この３点です。
１．丁寧なライティング、についてより具体的に言えば、しっかりと顔全体に光が回って頭髪にもハイライトがしっかり入り、目にもキャッチライトが入る、そんなイメージです。時々、コントラストのあるライティングをして顔に強い陰影をつけている候補者もいますが、大きな党の中では少数派です。
２.についても同様です。たまにそれを崩して下から覗き込むような構図になってるようなポスターもありますが、そういうのはたまにあるくらいです。
３.の加工についても同様。選挙に出る人なのである程度、年齢を重ねている人は多いのですが、シワを適度に消しています。テレビなどで見るのと比較すれば明らかです。しかし、個人的にはシワを消す加工、というか写真加工自体には全然否定的ではありません。加工して別人になっているようだとさすがに世間も気づきますし、それで好印象ならそのほうがよいでしょう。これは選挙のみならず、写真全般に対する僕の考えです。これを語ると主題から外れるのでまた別の機会に。
反対に、こういう王道を進みたくとも、おそらく陣営力でできないのが主要以外の政党。写真にお金をかけられない、あるいはちゃんと撮ってくれるカメラマンのつながりがない、内情は知りませんがそんな感じでしょうか。今回で言えば、具体的な政党名は避けますがいつの間にか一時期の勢いを失ったある党の写真がかなり酷いものでした（選挙区は東京都です）。サイドから白飛びするくらいの強い光があたり、何故か暗めに仕上がった候補者正面の顔。加えて、印刷所が悪かったのか、印刷所の特性を知らなかったのか、あるいは元のデータの時点でダメだったのか、顔に緑色がかぶってました。エイリアンもしくはゾンビでいらっしゃいますかよ！
今回は参院選ということで、主要政党以外の候補者は少ないのですが、これが区議選レベルとなると泡沫候補の写真の面白さは一段格上になります。ぜひ皆さんも候補者を検討しているフリをしながら写真に注目して掲示板を眺めてみてください。面白いですよ。個人的にはグラフィックデザイナーさんが見る選挙掲示板ポスターの意見も聞いてみたいところです（カーニングどうこうとか、色とか文字サイズとか、そもそもポスターを真っ直ぐ貼れてないのはどうなんだ、的な）。最後に、かの伝説又吉イエスさんのマネをしてたまに文字のみの候補者もありますが、少し穿った見方をすれば、写真一枚撮る余裕もない、そういうことでしょうか。違うかもしれませんが。
関連コンテンツ
スポンサーリンク