ネガ洗浄についての後半(東日本大震災のこと)
東日本大震災のボランティアの一環で参加した写真復旧の作業、僕が携わっていたネガ洗浄の話です。前回から引き続き、前のブログの記事を消す前に加筆、修正して転載です。
前回も書いてますが、あくまで今回のボランティアの現場という限られた環境の中での作業です。現場では状態の様々なものを大量に扱っています。よって、より適切と思われる化学的な処理は行っておりません。
さて、前回は乾燥まででした。ネガが乾いたらフィルムごとに新しいネガシートに入れます。大手のカメラ屋では販売してますし、町の写真屋さんでも交渉すれば譲ってくれるかもしれません。完全に乾燥したかどうかの基準に触ってみてべたつきが残っているかどうか、というものがあります。パーフォレーションなど、写っている像に直接影響の無い箇所で確かめてください。また、洗濯バサミを使用しているため、とめてある場所に水滴が溜まっている場合があります。その場合は洗濯バサミの位置をずらしてまた乾燥させてください。ネガシートに入れるときもフィルム面は触らず、両端をはさむようにして持ってあげてください。ネガはデリケートです。像面に指紋をつけてはいけません。
ここから先は僕のいた展示場での試み。洗浄後のネガをそのまま返すことができたら一番よいのですが、展示場も広い中、ネガを探すのは苦労です。しかも、カラーネガはぱっと見ただけでは中身を判別するのも難しいものです。そこで、スキャナ、パソコンを使ってネガを取り込みました。
全てを取り込むのは時間がかかりますから、被写体の人物が大きく写っているものや、場面が特定しやすい特徴的な写真を選んでスキャンします。
その後、インデックスシートをPC上で作成し、プリンタで出力します。Adobe photoshopではバージョンがよほど古くなければ「自動処理」の項目からコンタクトシートを作ることができるのでそれを用いていましたが、他にも可能なソフトはあると思います。だいたいL判のサイズに写真4枚分載せています。展示スペースと写真一枚ごとの認識のしやすさのバランスを考え、このサイズにしました。 用いている紙は、わかればいいので普通のコピー用紙。慣れてくると一日の作業(6時間ほど)で50シート分くらい作ることができました。
僕のいた展示場。もうこの展示場は閉鎖され、残った写真などは別のところで保管されているようです。このときはもう僕はボランティアの期間を終え帰る時期でしたが、少しでも多くの人に引き継ぎができれば、また、他の展示場ともノウハウが共有できればと思い、ここまで書かせていただきました。作業中は無力を感じる日々です。それでも、空いた時間に展示場に行ったとき、たまたま自分の写真を見つけ、持ち帰る方を目の当たりにするとそれが作業を継続させる力にもなってくれました。
僕のボランティア最終日でさえまだまだ作業場には新たに見つかった写真やアルバムなどが運び込まれてきて復興には時間がかかることを思い知らされました。十年単位にもなるでしょう。そこまで力を継続させて行くためにも、今回の震災のことを忘れないことが大切なのです。
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