著作と責任
古河花火大会の写真がレタッチしきれていません。優先すべき写真をレタッチしていると、必ずしも急ぎでない撮影分が後回しになります。8月はたくさん撮っています。
写真のレタッチばかりやっていると、息抜きにはインターネットサーフィンがよいです。なんてったって、作業しているパソコンの前から一歩も動かずにできるのですから。そんな風に、昨日も押し寄せる情報の波に乗ってたらなかなか乗りやすい記事がありました。
わりと大きめに報道されたので他の媒体でも見た事がある人もいるでしょう。このサイトはスマホなどからスクープ映像を誰でも投稿できるようなものらしいのですが、問題はその規約で、
- 投稿された動画は自由にテレビ朝日が使うよ、勝手に編集もしますね
- 動画の著作権はテレビ朝日にあるよ
- テレビ朝日が動画を使ったことで何か問題が起こったら自分で対処してね
というテレビ朝日以外得をしない規約になっているようなのです。現在、サイトはもうないようですが、こんな阿呆な規約はインターネット時代の著作権にうるさい我々カメラマンでなくともおかしいと感じることでしょう。
企画自体は悪くないとは思います。テレビ朝日側の気持ちもわからんでもないです。「みんなスマホ持ってるから動画をニュースで使える動画を投稿してもらったらスクープ映像になるんじゃね」→「でも、余計な部分とか写ってるよね、いちいち許可とるのもニュースだと時間ないし、勝手にテレビ朝日が編集、放送できるようにしとこう」→「勝手に編集するとと文句言ってくるやつがでそうだね、そしたら著作権はテレビ朝日にあることにしよう」→「それだと映像に勝手に写ってる肖像権の侵害だ、とか文句言ってくるやつがでそうだね、そしたらそういう文句は投稿者が対応しなければいけない事にしよう」という展開が想像できます。結果、テレビ朝日だけが得する無責任なサイトができるわけです。
せめて動画が使用されたら謝礼を支払うとか、著作権はあくまで投稿者のものだとかということになれば多少はマシなものかもしれません。著作権を持つという事は責任を持つということでもあるんじゃないでしょうかね。
ここまでが前振りです。これを見てふと思ったのですが、写真コンペにもこれと似たケースはあるなあと思いました。写真コンペの場合、どんな三流のものでも賞をとれば何かしらはもらえるので徹底的に無償をつらぬくテレビ朝日さんほどの根性はないのですが。よくある写真コンペの条件として、
- 著作権は主催者にちょうだいよ
- 肖像権など第三者が写っているものは自分で許可とってね、何か問題起こっても責任もたないよ
というのがありますが、これとテレビ朝日のは構造的に同じだということです。肖像権に関しては主催者側で責任を持つ事ができないので撮影者が持つべきというのはわかりますが、著作権が主催者に帰属するというのはどうも理解し難いことです。主催者がその写真を撮ったわけでも、現場に居合わせたわけでもなく、その写真を撮るようにディレクションしたわけでもないのですから。おそらく、入賞した写真を次回のパンフレット等の宣伝媒体に使いたい、ということだと思いますが、そしたら
- 著作権は撮影者にあるままですよ
- そのかわり、入賞したらチラシとかで使わせてね
下の一文を付け加えるだけでいいのです。正直に書けばいい。最も経験的にはこういう条件のコンペの方が多いと思います。ただ、何故か一部のコンペでは著作権を欲しがる主催者がいるのも事実です。著作権を取り上げられて勝手に写真使われたあげく、何かあったら責任をとれ、と言われるのは感覚的にもかなり理不尽ですし、なにより自分の作品を入賞賞金ごときで譲り渡すのはかなり気にくわないため、僕は著作権よこせ系のコンペには応募しないことと決めております。
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