2025年 写真展・写真集「いきをかさねて」の細かい話

2025年は大きく前進できた一年でした。特に暮れ。これを振り返れずに、またご報告せずに年は越せません。写真展、写真集のステートメントなどは別の機会とし、この記事ではその展示にいたるエピソードや裏話を書こうと思います。もともと、僕は本年中に個展を開催することが目標でした。フリーランスになって、法人化してまた子どもらも少し成長してその他諸々、一段落してきた今年。振り返れば展示は約10年も行っていませんでした。その時期m友人知人の歌手や役者の活躍は輝いてみえ、また僕の取手は叱咤激励されるものでした。コロナ禍もありましたね。ただ仕事も落ち着いてきて作品もまとまってきてようやく、という10月頃には会場にしたい候補のギャラリーは年内ほぼ埋まっているような状況でした。そこから数日後、
中野のギャラリー冬青さんの上記のポストを見つけました。こんな奇跡のようなタイミングを、と震えるような思いでしたが、縁を勝手に感じて奮って応募しました。久しぶりの展示に臨んで、キュレーションもしていただけるという条件は願った以上のものでした。その数日後、ギャラリストの野口さんと面談。その際に気に留めてくださったのが、以前制作した手製本でした。
こちらを展示しないかというご提案をいただき、承諾。それと同時に写真集にしないかとも。帰り道は地に足がついていないような感覚でした(中野区内なので徒歩で帰宅)。そこから、年末まで走り抜けるような日々でした。仕事終わりに打ち合わせをし、まずは12月に開催されたTokyo Art Book Fair(@東京都現代美術館)に写真集を間に合うように、デザイナーの高橋真美さんにも毎回、夜遅くまで多大なご尽力をいただき、写真のセレクト、本のデザイン、売価の検討まで細かく検討をかさねていきました。企画から1ヶ月半ほどでの出版。僕が写真集を初めて手に取ったのはTABFの当日でした。直接のやり取りはありませんでしたが、印刷所さんにも無理をお願いしてしまったところもあるのではないでしょうか。写真集の入稿が終わると、12月。続いて展示の準備に入りました。

TABFはWEEK2での参加。冬青社さんのブースで、僕は初日の金曜日のみの参加でしたが平日とは思えない人の流れに圧倒されました。ここで、初めて写真集を手にとっていただき、最初の一冊は海を渡ってL.A.へ行きました。嬉しい出会いもありました。きっと、僕以上に写真集を深く読んでくれたのだと思います。

週が明けて写真展「いきをかさねて」が「ギャラリー晴れ -南青山-」にて始まりました。プリントとともに、出来立ての写真集も販売させていただきました。10年ぶりの写真展ということもあり、とにかく知り合いの方には声をかけさせていただきました。多くの方に関わっていただき、もはや自分だけの展示、写真集ではないという思いがありました。SNSも今までないほど告知に力を入れました。その分こちらは完全放置で大変恐縮です。どうしても仕事で在廊できないときもあり、妻と子どもにもギャラリー番と来場者への対応を本当に真摯に努めてもらいました。実は展示初日の23(火)は本展示、写真集にも度々登場する祖父の誕生日でした。自分で設定しておいてなんですが、後でふと気づいたのです。きっと祖父も面白がって喜んでいたことでしょう。

溜まっていた仕事をギャラリーの在廊時間にでもやろうと思っていたのですが、お陰様で全然捗りませんでした。本当にありがとうございました。寒いなか、ただでさえ忙しない年末の中、華やぐ南青山まで昼食も満足にとれずに一週間を突き抜けられたのは感謝しかありません。いつも気にかけてくれている恩人、10年ぶりに会えた人、遠方から展示のために駆けつけてくれた人、写真集のみならず、プリントまで購入した友人、たまたまふらっと寄って面白い話を残していった人、展示は来れないが写真集は買うよ、ともメッセージくれた人。。。

展示の目玉のひとつ、サイアノタイプでの出力。写真家の稲垣徳文さんにご教授いただきながら自宅で制作しました。暗室を自宅に構えるのは15年ぶりくらいでしょうか。今の家では初です。プリントの、モノとしての魅力。写真はプリントすると印象が変わるといいますが、それをどのように作るかにもまた選択肢と考え方があるのだと、当たり前のことを身を以て考えることとなりました。今回の展示はこの2点のほかはハーネミューレのバライタを使ったインクジェットプリントを選びました。額は自分でもともと持っていたものにギャラリー冬青さんからお借りしたもの、それに新規で購入しています。プリントを購入してくださった方には改めて最適な額を選び、額装させていただきます。

写真集も、大変好評いただき、多くの人に手にとっていただけることになりました。本としては決して安くはない価格ですが、印刷、製本ともにその価値はあるかと思います。そしてまた本の中身をよしとして、持ち帰っていただけたのであればこれ以上のない幸せなのだと感じました。一冊を売る大変さと喜びを感じました。また、それは今後の活動の後押しであるとともに、買っていただいた方への作家の責任であり、また次の一歩への応援であるのだな、と感じた1週間でした。写真集はAmazonと楽天でも買えます。僕まで直接注文していただいても大丈夫です。

今後ですが、まずは2026年のKYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭のKG+に出展が決まっています。今回の展示をさらに再編集してのものになります。ホワイトキューブでない展示は面白がってできると思うので、もし機会あればよろしくお願いします。仕事以外の写真は、変わらず続けます。今回、写真展に至れず悶々としていた10年のものを見出していただいたのは何かしらの啓示のように思えます。当たり前ですが、写真は機材じゃないな、と思えます。写真集も展示もドローンで撮ったのが1枚、その他は昨今のミラーレスカメラではなく一眼レフで撮影したものだけです。今回展示するにあたり、いろんなプロントや展示を目にする機会が増え、また、手に入ったこともありフィルムでも撮影をしています。とにかく、幅を自分で狭めないことが大事かと今は思っています。
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