Ai詐欺とデジタルカメラ

次の産業革命と言われているドローン、AI、ブロックチェーン、IoT…だいたい新聞に書いてますね。ドローンはわかりやすく、ほとんどの性能は数字で見てとれます。でもAIって微妙ですよねわかりにくいですよね。性能が数値になってないですし。

最近、AIと名のつく製品がちょくちょく見られるようになってきました。でも、それってほんとにAI使ってるの?と感じざるを得ないのもあります。AIとつけばマシンラーニングやディープラーニングなどを通してアルゴリズムなどを作っていると我々は思うわけです。ただ、そこからアウトプットされたものってそれ以上学習しないんですよね。製品化された時点では学習を終えている状態で、それ以上行わないわけです。例外なのがAdobe SenseiみたいにクラウドベースのAIですけども、適当なネーミングな機能のくせして一番AIっぽいというのがなんとも。

だからひとえにAIって言ってもそれがどんな学習をしてきたか、というのはユーザー側からはブラックボックスなわけです。そのため、アウトプットされて出てきた情報がユーザーにとって使えるかどうかでその製品を評価せざるを得ないわけです。

現時点で「この製品はAIが採用されています」なんてのは例えるならば四大卒が珍しかった時代に就活で「大卒です」と言うようなものです。本質は大学で何をやってきたのかということの方が大事なのは現代の就活事情をぼやっとでも眺めてれば明らかで、それをAIに当てはめればそのAIがどんな学習をしてきたのかが大事ということになります。なのでAIがもっともっと普及してきた頃には「この製品にはAIを搭載してまして」という単純な謳い文句は通用しなくなるんでしょうね。そうなるのを願います。あるいは製品発売時にAIがどういう学習をしてきたか、公表するとかでしょうか。

いずれにせよ、現段階では「AIが使われています」と言ったところでその成果はユーザーにはマンションポエム並みに伝わらないわけです。この不透明さを悪用して不当に価格をつり上げたり、このAI研究はディープラーニングを超えたハイパーラーニングで完成すればブレイクスルーでシンギュラリティ、みたいな詳しくない人を騙す投資詐欺がでかねないなあと思っています。もう出始めてたりして。「仮想通貨の次はAIだ!」なんて。

動画撮影中にAIが被写体や構図を分析し、子供の笑顔の瞬間やペットがカメラを向いた様子を自動で静止画でも記録する機能もある。静止画用カメラでもAIによるシーン分析で最適な撮影モードが選択される。

デジカメWatchより https://dc.watch.impress.co.jp/docs/news/1121090.html

AIがシーンを分析して、とありますがカメラがシーンを分析するなんてのはAIが流行る前から行われてきたわけです。オートホワイトバランス始め、シーン測光なんてのはそれこそメーカーがカメラに何十万枚もの画像を覚えさせて、これから撮影しようとする画像にとって最適と思われる結果をはじき出すようにプログラムしているわけです。

3D-RGBマルチパターン測光では、センサーから得た情報で露出精度を格段に高めましたが、さらに明るさ以外のさまざまな要素の「認識」を人間の脳に近いレベルに進化させたのが、今回のシーン認識システムです。たとえばファインダーを覗いたとき、「何が写っているんだろう」「被写体がどんな風に動いているのだろう」など、被写体を認識する人間の複雑な判断を、ある程度カメラに委ねてしまおうというのが趣旨です。

Nikon公式ウェブサイトより http://www.nikon-image.com/enjoy/life/works/2007/0712/index.html

じゃあ、それとマシンラーニングと何が違うの、って話です。AI AIなんて騒ぐ前からデジカメは AIしてたんでしょうか。そう疑問に思ってたらこんなのがありました。

従来の当社のデジタルカメラでは画像のシーン認識をする技術が限定的であった.そこで,最近有望な技術として非常に注目されているDeep Learning技術をデジタルカメラのシーン認識に利用することで,当社の従来のシーン認識よりも認識率を大幅に向上させ,認識対象も拡大することができる技術を開発した.
Ricoh Technical Report No.429 FEBRUARY, 2017 Deep Learningを用いたデジタルカメラのシーン認識技術

これが2017年の論文です。このディープラーニングで得た結果はカメラに採用されているのでしょうか。これは驚きですがここ数年のAWBなどの安定っぷりを考えると特段驚くべきことでもないような気もします。売るときにAIを変に謳わないほうが好感がもてます。カメラがシーン認識にAI的技術を使うのは別に当たり前だからでしょうか。

一方でこんなのも発売されてまして。性能はなかなかよいそうなのですがこれ、AI(artificial intelligence)をミスリードさせようとしてるなあというのが明らかですよね。公式サイトに小さく

AIは、Auto Intelligentの略です。

CANON公式ウェブサイトより http://cweb.canon.jp/camera/eos/accessary/detail/1957c001.html

と書いてあります。自動的な知能…?社内で異論なかったんでしょうか…詐欺とは言いませんが、次の機種に同じ技術を搭載するにしても名称は変えた方がいいと思いますよ。

2018-05-11 | カテゴリー 日記 | タグ

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