魚眼レンズのあっと驚く嬉しい知識

ぎょぎょっと20

昨年、「Nikonおもしろレンズ工房」の3セットを手に入れたことを書きました。中でも焦点距離20mmの魚眼レンズである「ぎょぎょっと20」は気軽に使いやすく、いっそファインダー要らないよ、くらいに気楽なレンズなのですが、前にこのレンズについて憶測で書いたことが間違いであることが判明したのでここで一年越しのお詫びと訂正を申し上げる次第であります。

該当の箇所は「一番前のレンズが美しいのですが、おそらくこれは保護用で、中に見えるのが光学系としての前玉と思われます。」という一文です。少し前にありがたいことにご指摘をいただき、一番前のレンズも光学系であることが判明しました。証拠がこちら。

Nikonマニアならおなじみの「ニッコール千夜一夜物語」ですね。Nikonがレンズの開発秘話を明かしている読み応えのある記事です。カメラに詳しくなくても楽しめるはずですから、暇つぶしにオススメです。スマホにブックマークしておいてください。ここにしっかりと

基本的に強い平凹レンズの第1レンズでできた広い視野の歪んだ虚像を、凸の第3レンズで結像させる構成で、魚眼レンズ特有の歪曲と広い画角を得ている

と記載があります。衝撃を受けました。魚眼レンズの前玉って、平たくていいんだ…凹メニスカスレンズって名前の響きが素敵…この連載はいつ続きがアップされるのかしら…云々。超広角レンズには16-35/4のように前玉が平たいのもありますが、あれだってフィルターをつけるため、とかそういう目的があっての開発でしょう。広角の前玉は球面でないと設計しづらいはずなのに、あえてチープなレンズを作るためにそれを回避している技術が賞賛ものです。

そうなると、この「ぎょぎょっと20」の前玉はまるでグラスに入った水の表面張力のごとく、前面にぴったりと張り付いているのでキズが怖いですね。

_DSC7811

さて、このレンズ、最短撮影距離というものがなく、固定焦点のため、写ルンですと同じ状態。約1mより近いとピンボケになってしまう可能性があるらしいです。実はこれ、なかなか魚眼を使うのに難しいです。

通常、魚眼レンズといえばその歪みを楽しむのが初期段階ですが、そこからのステップアップ、写真が上手くなる基本として、広角、魚眼系はとにかく前へ一歩でて被写体に近づいて撮る、というのがあります。でも、このレンズは1mまでしか被写界深度に入らないのでそれがなかなかできないのです。これは明らかに上級者向けレンズです。広角レンズでやみくもに被写体に近づいて撮ることをマスターし、被写体との距離感を身体で覚えた者だけが進める次の段階です。そうした人が使いこなす広角、魚眼レンズは漫然とただ同じ距離で撮った写真とは歴然の差がでます。そういうものなのです。

せめてトイカメラのようにピントの合う位置を3段階くらいで調整できたらもう少し使いやすくなるだろうに、それを検討すらしないような態度には男気しか感じません。

そういう意味では写ルンですも実は上級者向けのレンズ付きフィルムと言えるのですが、それはまたいずれの機会に譲りましょう。

というわけで、今回のテーマはお詫びと訂正でお送りしました。

2015-08-22 | カテゴリー カメラ | タグ

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