失われた記憶をもとめて
壊れたMacの外付けハードディスクを直すよ、というお話です。フリーソフトしか使いません。
僕はあまり物覚えがよくありません。なんでも覚えている人がうらやましいです。「だからオレは写真を撮って移りゆく時をほんの少しでも記憶にとどめておこうとしているのさ、ふっ、夜風が冷たいぜ」と言いたいところですが、残念ながらそれは偶然です。しかし、写真を撮っておくとやはり後々見返したときにそのときのことを鮮明に思い出したりします。たまに写真なんか撮ってて何が楽しいのかね、それより自分の目に焼き付けたほうがいいのだよ、という輩がおりますが、そういう人は自分で写真が下手だ、と宣言しているようなものなのなので受け流すのがよいです。実際、しっかり写真を撮るならばファインダーを通して肉眼よりもしっかりと細部まで観察しているのでより記憶に焼き付くものなのです。
そういうわけで、古いHDDが壊れている僕の場合、19〜25歳くらいの記憶があやふやです。そのあたりの写真が一部しか残ってないのです。 今の僕であれば常に二重三重にバックアップをとっておくのは基本のキだ!と当時の自分に説教できるのですが、若者っていつの時代も大人の意見は耳にしないものですから、たとえ過去の自分に説教できたとしてもこの現在が変わっている可能性は少ないです。
しかし、いつまでもそのままでもよくないかな、と思い、妻が出産後、久々の外出をしている間に子どもが寝ている合間をみて壊れたHDDを直すことに挑戦しました。使用したのは「GNU ddrescue」というソフト。これがまた使い方を調べるとどこも専門的な口調でしか書いてないのです。
「まあ、ここを見にきてくれる人なら知ってることだろうけど、?;’8@$4d4rftgyふいjこlp>}+Oと一行書いてインストールしてね」
というそっけない感じで、全世界に発信するインターネットではせめてそうした内輪口調をやめたまえ、と思うのですが、僕もときどきカメラ関連では専門的な書き方するなあと擁護の気持ちも起きてしまう矛盾も同時に覚え、それでも僕らは明日へ進んでいくんだろう、そしていったん自分のことは棚に上げ、とりあえず今はこのソフトの使い方をなるべく平易に、たとえ記述に間違いがあっても誰でもわかることを優先に書いてみよう、というのが今日のテーマです。
前置きでだいぶ長くかかりました。ところで、写真は僕が12年ほど前に乗っていた原付です。ホンダのモトコンポというバイクで、今回HDDを直したら見つかった写真です。もともと状態の悪い中古を乗っていたので2年ほど乗って壊れてしまいましたが、機会があればまた手に入れて乗りたいバイクです。フルスロットルでも30km/hしか出ないのがよかったですね。道交法を守ってます。上り坂だともう少し遅くなります。原付は車検がなく、登録時にも色を書くところがないので、六角レンチ一個で外れてしまう外装を2回ほどペイントし直して遊びました。
話が脱線してしまいましたが、今度こそハードディスクを直す方法を書きます。まずは修復ソフトを直すためのソフトを入れるためのソフトを入れるためのソフトを入れます。冗談のようですが、本当です。App Storeで「Xcode」というソフトを検索してインストールしてください。これはiPhoneアプリなどを開発するために必要なソフトです。2GBちょっとあります。ちょっと時間がかかるかもしれません。
続いて「MacPorts」というソフトをリンクからインストールしてください。英語ですが、自分の使っているOSと同じバージョンをクリックしてダウンロードすればオーケーです。自分のMacのOSがわからない人はMacの画面左上のリンゴのマークをクリックして「このMacについて」をクリックすると書いてあります。ダウンロードしたpkgファイルをダブルクリックすると「MacPorts」のインストールが始まります。このソフトは先ほど書いた修復ソフトの「GNU ddrescue」含め、いろんなソフトがパッケージになっているソフトです。App Storeのようなものです。
ここからが本番です。普段GUIで慣れてる操作がCUIになります。何言ってんだ、という人は無視してそのまま進んでもらって構いません。「アプリケーション」から「ユーティリティ」フォルダにアクセスし、「ターミナル」を開いてください。僕もみなさんも苦手なコマンドの画面が起動します。しかし、ここは耐えて乗り越えましょう。苦労なくして青春は手に入りません。
ボカす必要もないのですが、一応名前と時間だけボカさせていただきました。2行目にある通り「sudo port install ddrescue」と打ってエンターキーを押してください。これは日本語に訳すと「Macの管理者の権限で言わせてもらうけどさ、さっき入れたMacportsを使って、ddrescueをインストールしなさいよ」くらいの意味です。するとパスワードを聞かれるのでパスワードを入力してまたエンターキーを押します。パスワードは画面に出ないので間違えないように注意してください。それで、上のような画面になればインストール成功です。
次に壊れたHDDをMacにつなげます。このディスクは接続できません、というような警告が出ますがそんなのは当たり前のことなので「無視」をクリックしてください。僕の場合は認識されるのが遅く、この警告が出るまで10分くらいかかりました。そうしたら今度は「アプリケーション」→「ユーティリティ」から「ディスクユーティリティ」を開きます。壊れたHDDが一応認識されていると思うので、それを選択し、上のアイコンが並んでいるところから「情報」をクリックします。出てきたウインドウの上から4行目あたりに「ディスク識別子」という項目の「disk○」(○は数字)を覚えておくか、メモしておきます。
ここから復旧作業に入ります。再びターミナルで作業します。入力するコマンドは
「sudo ddrescue /dev/disk○ ▫︎▫︎▫︎▫.img △△△.log」
です。disk○の○には先ほどの数字を入れます。「▫︎▫︎▫︎▫.img」の▫︎にはわかりやすい文字を入れてください。四文字の必要はないですが、半角英数字で入れてください。「△△△.log」も同様、自分でわかればいいです。これは、「管理者権限でGNU dderscueをdisk○にやるでち、その結果として、▫︎▫︎▫︎▫.imgという名前のデータと△△△.logというログをつくるでち」くらいの意味です。上の画面では「–no-split」というオプションを入れてますが、ラーメンのトッピングみたいなもので、人それぞれです。例えば、「-r3」というオプションを入れれば「エラーになったところは復元に3回挑戦するよ」というオプションになります。オプションはたくさん種類があるのでここでは割愛します。僕も全部わかるわけではないですし。いろいろオプションを試しても結果が同じこともあるし、ある程度は運なのだろうな、と僕は考えてます。
この作業が終わると「▫︎▫︎▫︎▫.img」ができているはずです。これが復元されたもので、imgとはCDとかDVDみたいなものです。これをMacでも読めるようにさらに復元をかけていきます。ここで壊れたHDDは用無しです。取り出してしまいましょう。
次に使うのは「photorec」というソフトと「testdisk」というソフトです。ここでできたimgファイルが破損していたらtestdiskを使って修復し、photorecでデータを復元していく、という流れになります。この2つは最初にインストールした「MacPorts」に入っています。むしろ、testdiskをインストールするとphotorecがついてくるので、またしてもターミナルを開き、そして「sudo port install testdisk」。これで2つともインストールされます。
ここで、先ほど作った「▫︎▫︎▫︎▫.img」を取り出してきます。おなじみのMacにおけるCドライブ、「Macintosh HD」を開くと新しく「opt」というフォルダができていると思います。その中に先ほどの「▫︎▫︎▫︎▫.img」はあります。面倒でしたらFinderで検索かけちゃいましょう。「▫︎▫︎▫︎▫.img」を見つけたら念のためにバックアップをとっておくとよいです。右クリックで「複製」でもなんでもいいと思います。
さて、いよいよ復元です。ここまでお疲れさまでした。Macも頑張りすぎてだいぶ熱を持ってきてるんじゃないでしょうか。ターミナルから「sudo photorec」と打って、一旦、スペースキーを押します。続いて、「▫︎▫︎▫︎▫.img」をFinderからドラッグ&ドロップ。すると、画面に「▫︎▫︎▫︎▫.img」が表示されるはずです。そうしてエンターキーを押してphotorecを実行します。うまくいかないときは先に「sudo testdisk」と打ち、同じようにスペースを押して「▫︎▫︎▫︎▫.img」をドラッグ&ドロップ、エンターキーを押してみてください。その後にphotorecです。
photorecを起動するとこんな画面になるはず。マウスは使わず、基本的にカーソルキーを使っていきます。「Proceed」でエンター。
僕の場合はPartitionが残念ながらUnknownでした。ここでパーティションが明らかになっていれば復旧率もよいかと思います。「Options」ではオプションを指定できます。申し訳ありませんが、僕はここはそんな詳しくないので割愛。「File Opt」では復旧するファイルの種類を選べます。マニアック種類のデータを復旧するのでなければデフォルトのままでいいでしょう。「Search」でエンターキーを押し、先に進みます。
ファイルシステムを選びますが、MacやWindowsで使っていた外付けHDDであれば「Other」で問題ないでしょう。
最後です。復旧先のフォルダを選びます。慣れてないと難しいかもしれません。「..」というのが一つ上のフォルダに戻る、です。特定のフォルダでエンターキーを押すとそのフォルダの中のフォルダをさらに選べるようになります。復旧先のフォルダを決めたらCを押して復旧開始です。けっこうメモリを食うので使ってないアプリは落としちゃいましょう。結果、僕は約3000枚ほどの写真が復旧されました。まだ写真を始めてなかった時代の、3年分ほどの写真は復旧したものの、残り2、3年分は戻ってきませんでした。
ここまで大変にお疲れさまでした。どうでしたでしょうか、少しはわかりやすかったでしょうか。同じソフトを使っても方法は何通りもあるので、僕のやり方が合わなければ別の方法をGoogleしてみてください。こんなことにならぬよう、普段からバックアップはとっておきたいものです。ちなみに、HDDの故障は大きく分けて、物理障害(落としたとかが原因)と論理障害(いわゆる何にもしてないのに壊れた)の2種類があります。今回の僕の復旧は掃除機で倒したことによる物理障害でした。論理障害であればPhotorecのソフトだけで復旧する可能性もあります。僕はこのソフトをけっこう信頼していて、HDDから消してしまった、くらいですと消した直後であればほぼ100%復旧してくれます。インターネットのキャッシュ画像のようなどうでもいいのまで復旧してくれます。見た覚えのないインド人風の男のスマイル写真が復旧されたりします。また、Photorec、TestdiskはWindows版もあり、作業方法は同じです。ただし、あくまで自己責任で。この作業を行うことで壊れかけたHDDにトドメをさしてしまうこともあります。また、業者が行う方法とは別のやり方ですので、これで復旧できなかったとしても業者に出したら復旧できた、ということもありえます。その反対はあまりなさそうですが。あくまでフリーソフトでやった、というのが今回の条件なので、お金に糸目はつけん、という場合はお金をかけたほうが復旧の可能性は高いと思います。
関連コンテンツ
スポンサーリンク