4K動画と4Kフォトについて誤まった知識が市場に広まっている(2015年版)

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写真はウチのイモリが足を滑らせて水中に転落する様子です。今回の記事とはあまり関係ありません。

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さて、4K。流行ってますね。最近ではこれからは8Kだぞ、との声も聞かれ、まだ4Kも普及してないのにそれはすごいなあ、と感心する日々です。4K、買いますか?僕はまだ買いません。色々調べたのですが、まだ買いません。まだ、というのは2015年3月の時点です。4Kとは4000のことです。Kは1000ですからね。何が4000なのか、というと映像の横の画素数です。ただ、4000ちょうどではなく、正確には約4000であって、TVと映画で少し異なるようです。現在普及しているハイビジョンは1920が横の最大画素数です。それに比べて4Kは一辺が約2倍になりますから、縦横それぞれ2倍の長さになって、面積にして約4倍の画素数。4倍綺麗な映像なわけです。ここで戸惑った人はこの先、進めませんからね。あるいは僕の説明がわかりづらくてすみません。

本題に戻りまして。なぜ4Kがまだ早いかと思ったかというと、いくつか理由があります。ひとつは、4Kを残せるディスクがないからです。blu-rayがきれいといってもハイビジョンサイズです。ちなみにDVDではさらにひと昔の横幅720のサイズですね。4Kが記録できるディスクはまだ市場にはありません(何度も言いますが2015年3月現在です)。今年の秋くらいを目標に作る、という話も出てますが、まだありません。だから、4Kでビデオを撮ってハードディスクには残せても、そこからディスクへコピーする際にはハイビジョンサイズに落とす必要があるのです。

それなのに4Kの話題っぷりはなんなんだ、ということで、調査にいってきました。向かうは家電量販店。ビデオカメラコーナーに行くと、予想どおり、どーんと4Kがプッシュされていました。とてもわかりやすいので、ここぞとばかりに素人を装って質問しました。「今度、子供産まれるんですけどー、4Kって流行りじゃないですかー、運動会とかでもデジカメで写真撮るかビデオ撮るか迷いますしー云々」。素人を装うとメーカーの表面上の売り文句が聞けるメリットがあります。どういう文句で購買させようとしているのかわかる一方、デメリットをどういう言葉で隠そうとしているのか、ということも見えてきます。

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さて、先ほどちらっと「運動会とかでもデジカメで写真撮るかビデオ撮るか迷いますしー」なんて書きましたが、これに店員が見事に釣られていました。「今は4Kフォトってあって、動画から写真を切り出せるんですよー」。そう、それが聞きたかった。僕、性格悪いですね。いわゆる「4Kフォト」、というやつです。確かに、4Kは写真にすると800万画素くらいあります。だいたいA4くらいならプリントもできるはず。しかしですね、この4Kフォトを考える上で一番の問題は動画と写真で使われるシャッタースピードの違いです。動画は一秒に29.97fpsで撮るものが多いです。要するに、一秒に29.97枚の写真を撮っているようなものです。その場合に使われるシャッタースピードは最低1/30秒〜せいぜい無理して1/125秒くらいでしょうか。それ以上に早いシャッタースピードは動画では普通使われません。なぜなら、シャッタースピードが早いと一コマ一コマで被写体が止まって映るのでパラパラ漫画のようになって映像が滑らかに感じられなくなってしまうのです。

一方、運動会で写真を撮るならば意図的にぶらすことがなければカメラは1/1000秒くらいのシャッタースピードにするのが常識です。シャッタースピードが遅いと被写体がブレてしまいます。しかし、先ほど述べた通り、動画のシャッタースピードは1/30秒〜せいぜい1/125秒。つまり、4Kのビデオで撮った映像から静止画として800万画素の写真を切り出しても、被写体が速く動いている場合はブレブレの写真になってしまうのです。残念です。しかも、写真を撮るときはカメラをしっかり構えるのが前提のところ、ビデオカメラの場合は被写体の動きを追ったり するときなどにビデオカメラを移動させるのが通常想定されます。そうなると、4Kから写真を切り出すなんて夢のまた夢の話です。家電量販店で色々と聞いた ときも、デモで動画を撮ってみてもらいましたが、家電量販店には運動会のように速度で動く被写体はありませんね。一応、自然には見えていました。では、遅 い被写体であれば4Kフォトは綺麗に見えるのではないか、ということがあります。しかし、そのくらいの速度の被写体ならカメラとビデオカメラ、別々に用意 したほうがよい結果になりますよ、と言いたいです。

ここまで4Kについてまだ買うべき時期ではない理由を書いてきましたが、ただ一点だけ今使える機能が、逆説的ですが、4Kフォトです。ただ、これは動画目的では使いません。写真として4Kフォトを使った場合、非常に魅力的な機能だと思うのです。800万画素の写真を秒30枚撮影できるわけですから。一度構えたら決定的瞬間を逃しません。現在の一眼レフなどでは秒10数コマが最高なので、それ以上に撮影できるわけです(Nikon 1除く)。そのためにはシャッタースピードをマニュアルで操作できる必要があります。それができるのは実はビデオカメラではなく、写真のカメラだったりします。家電量販店をはしごして、今度は専門的にずばっと聞いてみました。4K動画のシャッタースピードを好きに設定できるのは、例えば、Panasonicのですね。そういったカメラならばシャッタースピードから絞り、ISOが好きに設定できるので4Kフォト向けに動画を作成することもできるのです。あとはその動画から好きな1カットを写真にするだけ。これで一番上の写真のイモリが水中に落ちる瞬間や、他にもパイ投げなどアクティブなシーンの決定的瞬間を逃さず写真に収めることができます。パイ投げの顔面にパイがヒットするまさにその瞬間、撮ってみたくありませんか?僕は撮りたい。他にも、野球で例えるならばビールかけの決定的瞬間を写真で逃さず撮れます。ぜひ挑戦してみたいですね。ビールかけ自体も。もしかしたらスポーツフォトなんかは近いうちに4Kフォトに取って代わるかもしれませんね。

ちなみにイモリの写真は普通に一眼レフで撮ってます。集中して頑張ればこのくらいは撮れますが、4Kフォトなら頑張らなくても撮れるのです。そう4Kならね。ただ、Panasonicのカメラは4Kからはjpgしか書き出せないようでした。800万画素のjpg、果たしてどのくらいのサイズの鑑賞に耐えるか、まあ、カメラに詳しい人は推して知るべし。800万画素というと、約10年くらい前の一眼レフの画素数でしょうか。一般には聞きなれませんが、Blackmagicというメーカーのビデオカメラでは4K動画からRAW画像も切り出せるようです。

こないだ8Kの映像を見てきましたが、圧倒的でした。8Kというと、約3200万画素でしょうか。現行の一眼レフであるNikon D810がそのくらいの画素数です。そこから写真を切り出すこともまた考えると、動画からポスターをつくる時代にもなりそうです。その時代には一眼レフは一体何千万画素になっているのか、はては1億画素を超えてくるか。恐ろしや。デジタルの底の深さをかみしめつつ、今夜は寝ようと思います。

ビデオカメラで撮った4Kはセンサーサイズが小さいせいか、僕にはあまり階調が綺麗とは思えませんでした。これなら一眼レフで撮ったハイビジョン動画のほうが僕は好みです。

かつて映画監督ジャン=リュック・ゴダールは語りました。「写真がもし真実なら映画は写真の毎秒24倍真実である」(当時の映画は毎秒24コマ)。いずれが真実かは別として、未だ映画と写真はかけ離れたままです。

2015-03-15 | カテゴリー カメラ | タグ