Nikonおもしろレンズ工房という究極の非ニッコールレンズをDfで試す

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先月、ふらっと立ち寄った新宿の中古カメラ市で「Nikonおもしろレンズ工房」というレンズを見つけました。3本セットで6千円だったのですが、説明書のほか、なんとNikonシールもついていたので、Nikonファンにはたまらないものなのだろう、と悩んだあげく購入に至りました。1本あたり2000円なわけです。このレンズが3本セットで売られているのを見たのは初めてでした。

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この3本のレンズは20mmの魚眼レンズ、120mmのマクロレンズ(ソフトレンズにも換装できる)、400mmの超望遠レンズのセットで、どれも普通には使わない特殊なレンズばかりです。それぞれの正式名称は魚眼レンズ「ぎょぎょっと20」、マクロレンズの「ぐぐっとマクロ・ふわっとソフト」、超望遠レンズ「どどっと400」です。調べてみると、これが発売されたのは1995年なのでもう20年ほど前。1995年ってそんな前なんですね。2000年に再生産されたようですが、外装から見ると、僕が買ったのは1995年のもののようです。実は、僕は以前この3つのレンズのうち、120mmのマクロレンズのみ所有していた時期がありました。しかし、いつの間にか、おそらく、新しい機材を買うための資金巡りに巻き込まれて売られていったと思われますが、手元には無くなっていました。今一度、このレンズを手に入れ、今度こそは後生大事にしようと決心した次第です。

この「おもしろレンズ工房」はチープなつくりで、エンジニアが暇な時間に設計したんじゃないかとも思われます。しかし、最小限のレンズ構成ながら、レンズ交換の楽しみを知るには実によい教材的なセットになっていると思うのです。例えば、20mmの魚眼レンズ。おそらく、魚眼レンズではなく、超広角レンズにしようとしたら収差のためにこんなにシンプルな作りにはできなかったのではないでしょうか。収差を残し、それを楽しむようにできている魚眼レンズだからこそ、シンプルなレンズ構成をそのまま活かし、なおかつ魚眼の楽しみを知ってもらう意図があるのではないでしょうか。

今から思うと、当時のNikonは遊び心があったのだなあ、と思います。しかし、今がそうしたお硬いカメラしか発売してないかというと、そうでもないです。そう、僕の現在のメイン機、Nikon Dfです。しかもDfはオートフォーカスも、絞り伝達機能も備えていない非CPUレンズとの相性が最もよいデジタル一眼レフです。これで使わない手はありません。さらに言えば、この「おもしろレンズ工房」は絞り値が固定です。そのため、Dfに一旦レンズを登録さえしておけば、うっかり手動で絞り値をDfに伝え忘れることもなく、正確なExifが残せるというわけです。しかし、Nikonは「ぐぐっとマクロ・ふわっとソフト」の120mmも90mmのセットがなく、近い値で記録するしかないのが残念なところです。

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Dfに20mmの「ぎょぎょっと魚眼」を装着したところ。一番前のレンズが美しいのですが、おそらくこれは保護用で、中に見えるのが光学系としての前玉と思われます。だって、魚眼レンズですから、レンズが球面になってないと不自然です。

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実写です。楽しいです。このレンズはフォーカスも固定されており、約1.6mとのこと。残念ながら、それほど寄れません。広角レンズというものは寄れれば寄れるほどよいと思っている僕としては少々使いづらく感じます。しかし、ピントが固定されているということはシャッターを押せば撮れる状態という事でもあります。ノーファインダーでスナップを楽しむのがよいでしょう。魚眼特有の歪みと広角のパースで意外なカットになることが撮る前から予想でき、わくわくします。

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続いて「ぐぐっとマクロ・ふわっとソフト」。今回の3本の中で、一番仕事でも使いやすいレンズです、使わないけど。レンズを分解して換装し、ソフトレンズにもなることは書きましたがもう一段階、改装が可能で、通常のマクロからさらに寄れるようにもなります。

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多肉植物を撮りました。

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レンズも撮りました。このレンズが3本の中で一番仕事で使える、と書いたのはレンズの切れがすごくよいことです。上の2枚でもお分かりかと思います。普通のマクロレンズと遜色ない、とまではいかずともズームレンズよりはよっぽどよいです。しかし、仕事で使わない、と書いたのは絞りがやはり固定値だからです。マクロ域は若干の調整で被写界深度(ボケ具合)が大きく変わるので、それを調整できないのはちょっと仕事では使いづらいのです。

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ソフトレンズに換装した写真です。光源が特にほんわかとしてます。思った以上にふわっとなってました。このレンズは換装ができるので、その仕組みを学んでいく事で光学の勉強にもなりますね。

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最後に超望遠レンズの「どどっと400」。通常は半分ほどの長さですが、撮影時にはレンズを換装して上の写真のように望遠レンズらしい長さになります。ちなみに、レンズを長くしないままだと「どこにもピントが合わないレンズ」になります。その言葉自体は「どこにも続かない道」のような美しい響きがありますが、実用には向きません。あいにく、このレンズだけは購入時にクモリがある状態でした。まあ、仕方ないです。安価でしたし、シールがついてましたし。

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400mmというと、普通は鳥を撮ったり、スポーツを撮ったりするのに使います。しかし、今回はそんなタイミングがありませんでした。街中で400mmなど使う場面もありません。なので、今回は妻を撮ってみました。意外に撮影倍率に余裕があり、ポートレートだと首から上だけを切り取るくらいには寄れるようでした。しかし、光学性能がはやりイマイチです。当然ながら、望遠レンズで良好な写りをするものと言えばバズーカのような、重い、価格もお高いレンズになってしまうからです。しかし、低コントラストながらこのレンズは軽いし、気軽に持ち出せます。そこはこのメリットかと思いました。ちなみにこのくらいのバストアップのポートレートを撮るのに焦点距離が400mmではかなり離れなければいけません。モデルとの意思疎通はかなり困難をきわめます。

3本とも個性的な、レンズ交換が楽しいと思えるキットです。最近、撮影では撮っているというより撮らされている気がしてつまらなくなくなってきた、写真を始めた頃の何でも撮りたい、というワクワク、ドキドキを忘れてしまった、近頃はは世間の波に飲まれてしまって、カメラを持ち出す事もおっくうになってきたWowWow、というそんな貴方。ぜひこの「Nikonおもしろレンズ工房」はいかがでしょうか。なかなか市場では見かけませんが、シンプルな作りの中に写真は楽しいもの、という根源的な魅力が詰まっていますよ。

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ちなみにこのレンズ群を撮影するのにはD40に24-70/2.8という非常にアンバランスな組み合わせを使いました。椅子は段ボールでできている椅子、リキスツールです。3000円くらいでした。よい椅子なのでオススメです。

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魚眼レンズ「ぎょぎょっと20」について誤りがあり、訂正とお詫びの記事を書きました。

2014-09-13 | カテゴリー カメラ | タグ