Nikonで選ぶ3本のレンズ

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デジタル一眼レフを買ったらレンズを買い足さなくては行けません。これは決してメーカーの戦略ではなく、レンズ交換式、というものがそういうものだからです。一眼レフに限らず、レンズ交換式のカメラとはレンズを交換することで初めて汎用性を手にします。
誰が言い出したかわかりませんが、Nikonには大三元と呼ばれる3本のレンズがあります。それぞれ広角レンズのAF-S14-24mm F2.8、標準レンズのAF-S24-70mm F2.8、望遠レンズのAF-S70-200mm F2.8の3本です。全て開放F値が2.8であり、3本のレンズの焦点距離をつなげると14mmから200mmをカバーできます。写りも良く、この3本があればたいていのものは撮れる、という意味でもこれらのレンズは別格扱いされているようです。実際、焦点距離で見ると、この3本で撮れないものといえば野鳥や、スポーツ、大きいイベントなど超望遠レンズが要求されたり、昆虫など、マクロレンズが要求される被写体くらいです。この大三元はF2.8で統一されていますが、F4で通される16-35F4、24-120F4、70-200F4もあり、これらを小三元とも呼ぶようです。しかしこれらの3本はそれぞれ焦点距離がかぶっていたり(例えば16-35mmの焦点距離中に24-120mmの24-35mmがかぶっている)するので大三元に比べてすっきりとした統一感は感じられません。あくまで大三元のレンズ3本と比較しての小三元という印象です。ところで、こういう風に焦点距離がすっと並んでいるのはNikonのみで、他メーカーの場合は(特に広角側のラインナップがそろってないため)大三元という呼び名は耳にしません(2014年現在)。

しかし、大三元の3本でたいていの被写体が撮れるとはいえ、誰にとってもベストな3本かどうかというのは必ずしも言えません。例えばこの3本のレンズは明るい代わりに、もれなく重いです。特に望遠の70-200mmは大の大人でも長時間使い続けると翌日は腕が筋肉痛になることが多いです。また、個人的な金銭感覚によりますが、3本ともいずれも高価なのでおいそれと手が出るものではないでしょう。だいたいの人はこれを揃えようとしたら一本ずつ揃えていくものになると思われます。そして、大三元の3本を持っているからといって写真が必ずしもうまいとは限らないのが注意点です。単に見栄を張りたいがために、必要だからと自分すら偽り、自身の実力に不揃いに大三元を所有するという場合もあるでしょう。カメラコレクターではなく、写真を撮るものであるならば誰しも、自分が本当に必要なレンズは何かを考え抜いて選ぶべきです。僕も、色々と、それこそ何年も吟味し、ネットで価格を調査し、金策に走り、眠れぬ夜を過ごし、とうとうマイ三元とでも呼ぶべき3本を揃えることに至りました。それが上の写真の3本です。

広角レンズはSigmaの12-24mm F4.5-5.6です(写真右)。いきなり純正レンズではなく、サードパーティーのレンズですがこれには理由があります。Nikonの14-24より広角側が2mm広いのです。たった2mmですが、広角レンズに親しんでいる人にとってはその差がいかに大きいかわかるでしょう。そして現在のところ、魚眼ではない、広角レンズとしてはこのレンズが35mmフルサイズ対応のレンズとしては最も広いレンズになります。広角レンズは広ければ広いほどよい、という座右の銘を持つ僕にとってNikonの14-24ではなく、このレンズを選ぶ事は必然と言えます。純正よりも写りはよくなく、レンズとしても暗いのですが、広角レンズはたいていの状況では絞り込んで使う事を考えるとすればその差はないように思えます。実際にF11くらいまで絞り込むと周辺光量も写りも均一になるようです。開放で撮った写真はすごく周辺光量が落ちますが、広角レンズらしい落ち方をするのでそれはそれで気に入っています。

標準レンズはNikon24-70 F2.8(写真中央)。これは大三元の一本でもありますが、まあ、無難です。大三元の中でも特にこの一本があればたいてい撮れます。35mm、50mm、85mmなど標準〜中望遠域の単焦点レンズに比べてなるべく明るさに差がないほうがよいため、F2.8であるほうがありがたいです。この焦点域が暗いと、明るい単焦点レンズを別に必要となってくることがあるからです。荷物をなるべくコンパクトにする意味でもまた、レンズ交換を少なくするためにも僕は24-70F2.8を選択しました。とはいえ、これを購入した頃はまださほどそこまで意識はいっていませんでした。結果的にはこれで正解でした。

最後に、望遠レンズはNikon70-200F4(写真左)です。こちらは小三元と呼ばれる中の一本ですね。よくF2.8と比較されますが、僕は次の点でこちらを選択しました。

  1. 軽い。重さが約半分で、標準ズームの24-70F2.8よりも軽量。一度撮影を始めたら長時間になりがちな自分にとってはこちらのほうがリズムがよい。
  2. 手振れ補正が5段分。ちなみにF2.8だと4段分。手振れ補正など目安にしかすぎませんが、こちらのほうが効くのは間違いありません。1/10のシャッタースピードで手振れがなかったときは感動しました。
  3. 写りがF2.8と遜色ない。実際は細かく見ると、ということはあるようですが、多分、同じ被写体を撮って比べてみないとわからないと思います。そして、F4の写りは十分よい。
  4. 最短撮影距離が1m。望遠レンズのわりに寄って撮れる。ちなみにF2.8は1.4m。40cmの差は大きい。
  5. この高感度礼賛のデジタル時代、F2.8のほうが速いシャッタースピードが切れる、とういう理由ではF2.8を選ぶ理由にはならない。

以上の5点です。もちろん、2.8のほうが明るい分、メリットもあるのですが、あくまで僕の場合、ということです。決してF2.8が買えなかったから妬いているわけではございません。しっかりとF4でよかったと日々感じて感謝しております。その他のレンズも同様で、あくまで自分の場合ということで選んだ理由です。この3本で僕はほとんどの仕事に対応できるでしょう。しかし、むしろ万人にオススメなセットではありませんので、そのへんはご理解ください。ゆえに先ほども述べた通り、一人一人が違う組み合わせでレンズを検討するべきなのです。その結果が大三元になるかもしれません。僕のマイ三元とたまたま同じになるかもしれません。ぜひあなたも自分の撮影スタイルを追求し、吟味し、ネットで価格を調査し、金策に走り、眠れぬ夜を過ごした末にマイ三元を見つけてみませんか。

ところで、上の写真のようなレンズの置き方は撮影用であり、本来は推奨されないものだと思っています。まず一点はフードをつけていないこと。多肉植物やらを映り込ませるためにフードを外しましたが、実際の撮影ではフードをしないなんてとんでもないです。あえてハレーションを起こすのでない限り、また、ガラスの映り込みを消そうとするのでない限りはフードはつけておくべきです。メーカーのカタログ等では見た目を重視するためにフードを外していたりしますが、あれは望ましくないです。また、レンズの先端を上に向けるのは個人的になしかな、と考えています。見栄えはそちらのほうがいいですし、店舗でもそのようにディスプレイしていますが、短い単焦点レンズでもない限り、レンズの重心は明らかに先端にあります。ゆえに、レンズの先端を上に置くか、後端を上に置くか、万が一のときに倒れやすいのはどちらかを考えたら一目瞭然というやつです。我が家ではレンズは先端を下に置いています。あくまで上の写真はイメージであり、イメージとは現象の表彰をなぞらえたものであり、それゆえフッサールを起源とする20世紀初頭の哲学として現象学を歴史的に捉えた場合云々…ということをご理解ください。

2014-08-18 | カテゴリー カメラ | タグ

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